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メラミン事件

2007年2月、米国およびカナダで多数のイヌやネコが奇病にかかる事件が発生した。調査の結果、ドッグフードの中にメラミンという化学物質が混入していることが分かった。メラミンは人での致死量が150g 程度ときわめて毒性が低く、これは食塩の致死量である200-300gと大差がない。メラミンは腎臓でシアヌル酸という物質と結合して結石を作り、障害を及ぼしたものである。メラミンは多量の窒素を含むため、これを加えると検査時にたんぱく質の量が多く見える。これがメラミンを混入した理由と考えられるが、このような偽装がいつ、どこで始まったのかは明らかではない。

2008年9月、中国でメラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳児約5万3000人が異常を訴え、1万人以上が腎臓結石などで入院、100人以上が重症になり、死亡例も出た事件が明らかになった。原因は粉ミルクの原料牛乳にメラミンが添加されたためであり、汚染粉ミルクで育てられた乳児が多量のメラミンを摂取したのである。製造元の企業に前年12月から寄せられた乳幼児の健康障害の情報は発表されなかった。この間8月8日から24日まで北京オリンピックが開催され、事件が報道されたのは9月9日である。

厚生労働省は9月20日にメラミンを「許可されていない食品添加物」と規定して、これが混入している食品は輸入を認めない方針を発表し、輸入関係者に自主検査を要請した。そして、その1週間後の26日、輸入食品に最大で37ppmのメラニンが混入していることが分かり、回収が始まったのである。厚生労働省はこの事実を公表すると共に、概要次のような参考事項を記載している。

「米国食品医薬品庁によれば、体重60kgの人が一生食べ続けても身体に影響がないメラミンの摂取量は1日当たり37.8mgであり、今回確認した最も高い検出濃度を含むクリームパンダを毎日1kg(25個)食べても影響はありません。」

翌日の新聞各紙はこの事実を報道し、中には「消費者に不安と怒り」、「何を信じていいのか」などといった大きな見出しを出したものもあったが、記事の内容は厚生労働省の発表を伝えるものであった。

この事件の疑問点は、そもそも健康に全く被害がない微量のメラミンの混入を問題視して、食品添加物の違反という口実を作ってまで食品の回収を行う必要性であり、これも科学ではなくゼロリスクの大衆迎合の結果として疑問が残る措置である。

(H20.10.15 会長 唐木英明)

追記

厚生労働省の10月16日の発表では、「飼料等から食品中への間接的なメラミンの残留が確認された場合の取扱いとして、諸外国において規制値として示されている2.5 ppmを超えてメラミンが検出された場合にあっては、関係事業者に対し、自主的に当該食品の回収等の措置を講ずるよう指導する。」という措置が追加されている。

一方、「なお、メラミンを意図的に添加した食品にあっては、引き続き、食品衛生法第10条(指定外添加物の使用)違反として措置する。」とあり、その場合には定量限界が0.5ppmである。

同じ食品でもメラミンを「添加物扱い」に出来る場合と出来ない場合で基準が2種類出来てしまったのだ。

それはメラミンを食品添加物扱いにすると、「飼料等から食品中への間接的なメラミンの残留」を取り締まれないからだろうが、それなら最初から2.5 ppmにしておけばすべてに網をかけられるし、回収・廃棄される食品はずいぶん減って、経費と無駄の削減が出来たのではないだろうか。(H20.11.9)

(H20.11.09 会長 唐木英明)
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