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コラムTOP > こんにゃくゼリー事件 こんにゃくゼリー事件2008年9月、こんにゃくゼリーをのどに詰まらせて、1歳9ヶ月の男児が死亡した。国民生活センターの調べでは、毎年の死亡者は、1995年から2008年10月まで間に合計17名、平均して年間1名強であり、最も多いのが高齢者、次いで幼児であった。 この事件を報道した9月30日の朝日新聞は「そもそも高齢者や子どもが食べてはいけないお菓子が流通していること自体おかしい」という主婦連合会事務局長の話と、EU等では禁止しているという記事を掲載して、抜本的対策がとられないことが被害を広げたと非難した。また消費者大臣はこの事故の原因となった企業の幹部を呼び出して自主回収やゼリーの形状変更を求め、農林水産省も警告マークの拡大などの再発防止策を求めた。そしてこの企業は原因となった製品の製造を中止した。 それでは毎年どのくらい人が食品をのどに詰まらせて亡くなっているのだろうか。厚生労働省の2008年の調査によると、死者は毎年4000人以上。2006年1年間の死亡事故のうち1358件を調査した結果、その原因食品と死亡者数は、多い順に、もち(168人)、パン(90人)、ご飯(89人)、すし(41人)、あめ(28人)、だんご(23人)、おかゆ(22人)などであり、その大部分は幼児と高齢者だった。ちなみに、この年のこんにゃくゼリーによる死者は2名であった。 この事故を考えるときに、3つの要素を念頭に置かなくてはならない。第1は被害者の数である。こんにゃくゼリーの被害者は多いとはいえない。第2は事故が起こる確率である。例えば1万人がこんにゃくゼリーを食べたら何人が窒息死をするのか、その確率が他の食品と比べて格別に高いのか、比較が必要である。第3の要素は必要性である。必要がなければ死亡者が出るような食品は排除すべきである。こんにゃくゼリーは、死亡者数がはるかに多いあめ玉と似た嗜好品だが、嗜好品は不要だから禁止してもいいのか、社会や経済に大きな影響がないのか、国民の理解が必要であろう。 大事なことは年間4000人以上の死者を少しでも減らすことである。そのためには幼児と高齢者は食品により窒息死する可能性が高いことを周知させることが重要であり、そのような対策がこんにゃくゼリーの被害を減らすことにもなる。話題になった一つの商品だけをスケープゴートにすることは、年間4000人の死者をせいぜい1、2名減らす効果があるだけで、残された多くの食品が持つ危険性を覆い隠し、総合的な安全対策を忘れさせる結果にもなりかねない。「問題のこんにゃくゼリーの対策を強化しました」という、ゼロリスクの大衆迎合がここでも行われたのだ。この点に関して、食品安全委員会のホームページには適切な注意事項が掲載されていることを特記しておく。
(H20.10.15 会長 唐木英明)
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